2009年度取材

中垣 啓 教授 [博士(教育学)]
発達心理学研究室
(教育学研究科 学校教育専攻)
所在地:早稲田キャンパス14号館
http://www.f.waseda.jp/nakagaki/

子どもはエイリアン?

 このゼミで扱っているのは「子どもの認知発達」。「子どもの精神構造は、常識的に考えるよりはるかに大人とは違う」と中垣先生は言います。「学生にはよく、子どもは地上性エイリアンだと言う」のだとか・・・。どれくらい違うのかというと、たとえば今、院生の永盛善博さんが取り組んでいるのは、ペットボトルに浮かべた魚(調味料入れ)を使った実験。「沈め!」と言いながらペットボトルを握ると、魚は沈んでいきます。それを見た子に「どうして沈んだの?」と聞くと、小さい子はよく「魚が言うことをきいた!」と答えるのだそう。確かに、大人にはない回答ですね。

 子どもはどんな認知のしかたをしているのか、それが年齢があがるにつれてどう変化するのか。さらには「なぜそういう発達をするのか」というメカニズムに迫ろうというのが、このゼミのテーマです。

 「ペットボトルの魚」の他にも、「ビデオ映像の中の人は画面から出てこられると思うか」「サイコロの目の出る確率についての考え方は、子どもと大人でどう違うか」など、それぞれの方法で、子どもの認知発達にアプローチしているゼミ生たち。研究内容は違っても、実際に子どもたちを対象に調査するときには、他のメンバーも協力します。「100人の小学生に聞きたいと思っても、ひとりでは時間もかかるし、小学校にも迷惑ですよね。このゼミはみんなが協力してくれるので助かります(松本 久美子さん)」。助け合うという意味だけでなく、調査者として多くの研究にかかわることが、自分の勉強にもなるのだそう。中垣先生は「個々の院生の研究調査、たとえば児童面談室における予備調査、保育園、幼稚園、小学校における本調査などを研究室全体で行なうのは、ゼミ以上に研究指導に役だっている」と言います。
 そして修士1年の新地 文子さんは「私はゼミで一番下ですけど、先輩たちは何でも相談できる存在。とてもアットホームです!」。院生だけでなく卒業生も参加するゼミは、学年も年齢も関係なく話し合い、協力しあえる場のよう。ついでながら、ゼミには毎回、お茶とお菓子が出るそうですよ。

永盛 善博さん(助手)
「このペットボトルの中の魚が浮き沈みします。どうしてでしょう?」
修士2年・松本 久美子さん 修士1年・新地 文子さん

世界に認められる研究を!

 大学院のゼミは、週2回のうち1回がゼミ生の研究発表、もう1回は英文の文献講読です。「心理学の研究はまだ欧米が主流。ある領域を研究したいと思ったら、まずその領域の代表的研究を知ることから始めなくては。それにはどうしても英語の文献を読みこなす必要があります」と中垣先生。ゼミ生が海外の学会で発表することも推奨し、博士3年の伊藤さんは、すでにドイツ、カナダ、アメリカで学会発表を経験。他にも6~7人の学生が、海外進出(?)を果たしているとか。「日本人にしか認められない研究では意味がない。世界的レベルで活躍できる研究室にしたい」と先生は言います。

 もうひとつこだわっているのが「基礎の基礎を研究すること」。「私はいつも、役に立たない研究をしろと言っている」のだそうです。すぐに役に立つ(ように見える)研究は、狭い範囲でしか使えない。基礎的な研究は役に立たないように見えて、その成果は大きな影響力を持ち、応用範囲ははかりしれない・・・そう先生は強調します。
 そんな先生を、ゼミ生はどう見ているのでしょう?「びっくりするほど知識豊富なので、研究テーマも偏りがない。本当に勉強になります(王 暁曦さん)」。学生への要求もなかなか高そうですが?「そうですね。英文の訳がおかしいとすぐツッコミがはいるし(笑)、海外に発表に行けと言われるなど、指導熱心で厳しいです(大浦 賢治さん)」。
 それでも「人生をかけて研究するとはこういうことだと思わせられる先生です!」という卒業生の柿原さんの言葉に、全員がうなずいていました。

博士3年・伊藤 朋子さん 博士2年・王 暁曦さん

この日のゼミに参加していた卒業生のおふたり。
左:柿原 直美さん  右:三國 隆子さん


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